赤と黒が格子になった、‟バッファローチェック”は永遠なのか?
黒と赤というコントラストが強い色で構成されたチェックを「バッファローチェック」と言います。アメリカならば「バッファロープレイド」と呼ばれているチェック柄です。森林などでハンターたちが誤射しないように考えられた柄だそうで、1970〜80年代からはアメカジを代表する柄としてよくシャツやアウターなどに使われていました。
昨年、息子がこの柄を使ったクルーネックタイプのTシャツを買って帰った時には、「こんな柄、今、若い人が着るんだ?」と驚いたものでしたが、今年はさらにこの柄が流行しているそうで、ダウンウエアやアウターなどでこの柄を見ます。ファッションの歴史はいつも繰り返されるのですね。
これはアメリカのシアトルで19世紀に創業された「フィルソン」がつくったジャケットで、「フィルソン」では「マッキノークルーザー」と呼ばれるモデルです。
このジャケットを購入したのは、41年前。初めて行ったアメリカ・カルフォルニア州バークレーにあった「R.E.I.コープ」で買いました。実は友人のために買い求めたものです。その頃はまだ誰もが簡単に海外旅行に行くような時代ではなく、せっかくアメリカに行くのだからと、服好きの友人たちからいろいろなものを頼まれて、自分のもの以上に必死に探しました。
数年前に「もうさすがに息子も着ないので処分する」と友人から言われ、それならば私が欲しいとお願いし、私の手元に渡ってきました。
さすがに襟のタグなどはヨレていますが、十分着られます。41年前のものとは思えないほどです。織りネームの中央に「100% VIRGIN WOOL」と入っていますが、これはウール100%、しかもオレゴンで採られた原毛から織られた素材で、23オンスもあります。41年前に購入した時にはゴワゴワとしていましたが、逆に今の方が着やすいくらい。
「どうせ持つならば最上のものを」。これが創業者が残した言葉だそうで、親から子に伝えるような堅牢な商品づくりが特徴です。数年前、とある人にインタビューしたときに、19世紀、「フィルソン」が生まれた米西海岸のシアトルはゴールドラッシュに沸く、アラスカへの玄館口になっていたそうで、それでこうした堅牢な服やブランドが多く生まれたそうです。この堅牢さ、本物らしい佇まいは敬意を評したいくらい。
マッキノークルーザーの特徴は胸の4つのポケットです。左胸のポケットはペンホルダーまで付き、酷寒の地に向かうためでしょうか、下の脇ポケっトにはハンドウォーマーまで付いています。これは「シングルマッキノー」と呼ばれるタイプで、他に肩から袖を同じ素材で覆った「ダブルマッキノー」もあります。黒×赤のチェック以外にもグレーなどの無地タイプもありますが、やはり格子柄の方が、70〜80年代を感じます。
41年前のアメリカ旅行で私はアウトドアアイテムからアメリカ製のトラッドアイテムまでいろいろなものを購入したはずですが、気が付いたら、どれももう手元にありません。あの時買った「パタゴニア 」や「ケーブルカークロジャーズ」、「エディ・バウアー」などのアイテム、持っていればよかったと後悔する日々です。ともあれ「フィルソン」のマッキノークルーザーをミントコンディションのままキープしてくれた友に感謝! 持つべきものはいい友人です。